「性的マイノリティ(LGBTQ+)」と「キューバ革命」

彼が見ることができなかった世界とは

白黒写真しかない時代、約60年前にアメリカを恐怖のどん底に叩き落とし、人々を熱狂させ先導した、キューバ革命が起きる。日本にいる無知な人々からすれば、対岸の火事であり、共産主義が勝利したというイメージしかないだろう。ただ、それはアメリカから見た世界である。人類からすれば、世界の価値感が全て逆転する可能性のある革命でもあった。キューバ革命の大きな柱はたった一つ、”ホセ・マルティ主義”である。こう謂うのも悪いが、ソ連に接近し、共産主義化した後、アメリカと関係が悪化したのは、アメリカがキューバに対して軍事行動を起こした、その単なる結果に過ぎないのである。

さて、ホセ・マルティ主義について軽くさらっていこう。ホセ・マルティはキューバ生まれの詩人であり、革命家である。彼は宗教や人種などへの帰属ではなく、祖国の良さに誇りを持つことに価値を感じるべきであるという考えである。彼はこう述べている。「キューバでは人種対立は絶対ない。男とは人種を超越するものであり、キューバ人は人種を超えるものである。戦場でキューバのために死に、人種関係なく魂は昇っていった。」キューバ革命はこのような思いが軸になっている。

では、本題の性的マイノリティについて、ホセ・マルティは「黒人だろうが白人だろうが、お互い優越感を感じることに、なんの価値があるのだろうか、差別というのは自然に反し、平和の敵である。」それでは性的マジョリティとマイノリティーに置き換えてみよう。違和感がないとみんなが思うだろう。キューバ革命を指導した、故フィデル・カストロは、当初は、性的マイノリティを弾圧していたが、後にこれは間違いであったと認めた。これにはいろいろな要因があるであろう、ただ一番の要因はホセ・マルティの遺志に反していると気付いたのであろう。そして、革命から60年以上の時を経て、2022年の憲法改正で性的マイノリティの同性婚を認める条文が国民投票で可決された。ホセ・マルティの理想が更にもう一歩進んだのである。キューバはまだ物不足で理想への前途はまだまだ多難である。ただ、彼の理想は着実に叶いつつある。

最後に、キューバ革命の本質的な部分は、服従という足枷を外し、人種という枠組みをなくし、みんなが自由に幸せに生きるということである。これはキューバのみならず、日本でも、そして世界でも起きるべき意識革命ではないか?